村山市への移住で、居合の稽古を暮らしに入れる|初心者も通える発祥の地の道場

公開日: 2026-10-09最終更新日: 2026-10-10
村山市/初めて刀を持つ人にも、居合を教える市/①初めて刀を持つ/②海外から習いに来る/③地元で続ける

山形県村山市では、2018年12月1日から、刀を持ったことのない人にも居合道を教える体験を販売しています。習うのは、基本の形「初発刀」です※1。

武道の発祥の地を訪ねるなら、ゆかりの神社へ行き、熟練した人の演武を見て帰る。私は、観光客の居場所を見学する側に限って考えていました。

ところが村山市では、客が道着に着替え、先生から刀の扱い方を習います※1。地元では、小学生も居合道クラブで稽古をし、全国の剣士が集まる場で演武を披露しています。

では、なぜ村山市の居合道は、発祥の地の演武を見せるだけで終わらないのでしょうか。

答えは、初めての人の体験では有段者が教え、海外の経験者も学びに来て、地元には学校のクラブと初心者を迎える伝承会があるからです。

この記事では、自治体と国が発表している一次資料を読んで見えてきた、初めて刀を持つ体験、海外から習いに来る人、地元で続ける子どもと大人という3つの柱を、仕事や住まい、冬の要点も交えて解説します。モノサシは一つだけ。居合を、誰が、どこまで続けているか。締めくくりに、私の見立てを置きます。

村山市で初めて刀を持つ|演武の見学から、初発刀を習う側へ

一つ目の柱は、初めて刀を持つ体験です。先生が刀を抜くのを目の前で見た後、客自身も基本の形を習います。観光物産協会が受け付ける体験には、道着と模擬刀の貸し出しも含まれています※2。

習う場所は、林崎居合神社のすぐ隣にある村山居合振武館です。協会は、隣の神社を居合道の発祥の地と紹介しています。居合の稽古では、礼から始め、自分で敵を想定して、決められた形を練習します。刀の扱いだけでなく、体をどう使い、どこに注意を向けるかも学ぶものです※2。

この稽古のある場所で、市は2017年から観光の体験プログラムを開発しました。翌2018年に販売を始め、スポーツ庁・文化庁・観光庁のスポーツ文化ツーリズムアワード2020では、特別賞の武道ツーリズム賞を受けています。用意したのは、演武や真剣での試斬を見るコースと、道着を着て形を練習するコースです※1。

自分で習うコースは、神社へ参拝し、有段者から居合の歴史や精神について聞き、演武を見るところから進みます。その後に、作法、刀の扱い方、初発刀を習う順番です※1。動きの意味や精神面についても、指導を受けます※2。

初発刀を習う/道着/模擬刀。木造の道場で、道着と袴を着た大人2人が模擬刀の形を習う後ろ姿。
図1 初発刀を習う(※2)

真剣での試斬が入るサムライ体験でも、実演するのは先生です。試斬をする先生の演武を、客は見学します。90分の居合道体験は、形を習った後に記念撮影へ進み、120分のサムライ体験は、形の稽古に先生の試斬を加えます※1。市は、外国人の客にも楽しめる内容として、この体験を売り出しました※1。

村山市へ海外から習いに来る|151人中93人、その先の経験者2人

二つ目の柱は、海外から習いに来る人です。外国の客へ体験を伝えるため、市は2022年度に英語と中国語のパンフレットを作りました。外国人体験者が増えたことも、市は記録しています※3。

翌2023年度、居合道の体験者は151人、うち外国人は93人でした。およそ6割です※3。海外からの稽古は、どんな人が、どんな動きを習う時間なのでしょうか。

海外からの稽古/151人/93人。山並みの見える木造道場で、海外から来た大人と先生が稽古する後ろ姿。
図2 海外からの稽古(※3)

人数の先の姿は、協会が2026年に残した体験の記録にもあります。8月6日掲載の記事では、ドイツから来た親子3人が、慣れない着物や刀の扱いに最初は少し緊張しながら、刀を振り、納める作法まで取り組んでいます。協会に伝えた感想は「楽しかった!」でした※4。

2026年8月7日には、オランダから、居合道の経験者2人が発祥の地での体験に加わりました。2人は協会に「発祥の地で学べて本当に良かった」という言葉を残しています※5。

体験の案内には、5時間のプライベート修行のプランもあります※1。自分で習うか、演武を見るかを選ぶ客も、続けて来ています。協会の「サムライ体験260923」では、台湾からの客が、先生の説明を聞きながら一つずつ動作を体験しました。「サムライ体験261006」では、米国からの客がサムライショーを見ています※5。

ここまでの客は、旅の途中に居合を見たり、習ったりする人たちでした。では、発祥の地に住む子どもは、居合をどんな形で習っているのでしょうか。

村山市で居合を続ける|小学生の演武と、初心者を迎える毎週の稽古

三つ目の柱は、地元で続ける子どもと大人です。村山市の楯岡小学校には、居合道クラブがあります。旧大倉小学校から引き継いだ活動で、市の学校紹介は「全国唯一の居合道クラブ」として紹介しています。子どもは日頃の鍛錬の成果を、全国各流の大会などで披露しています※6。

学校で習った形を披露する場の一つが、全国各流居合道さくらんぼ大会です。2012年6月24日の大会では、大倉小の児童が公開演武をしました※7。学校が変わった後も、2013年の大会には楯岡小の居合道クラブによる公開演武の記録があります※7。

2025年6月22日の第18回大会にも、楯岡小のクラブが出演しました。市が公開している当日の写真には、子どもたちの公開演武が載っています※7。

同じ年の9月7日、林崎居合神社で開かれた演武会には、全国から様々な流派の団体が集まりました。楯岡小の居合道クラブからは4〜6年生6人が参加し、筆頭の演武を務めました※8。

翌2026年9月13日、村山市には再び全国の流派が集まり、演武会が開かれました。テレビユー山形が伝えた、地元で居合を学ぶ中学生の感想は、「気迫のこもった演武が素晴らしくて、自分の今後の活動にいかしていきたい」でした※9。

地元の子どもが続ける居合を、移住後に初めて習いたい大人はどこへ行けばよいのでしょうか。林崎居合道伝承会は、入会や見学を希望する人に、稽古の時間に直接来るよう案内しています。経験は不問で、初心者も歓迎しています※10。

稽古場は、旅人が体験するあの振武館です。伝承会の案内では、小学生から80代まで30名超の会員が稽古をしています※10。学校のクラブとは別に、年齢の違う人たちが同じ道場で習う場があります。稽古は毎週水曜夜と土曜朝です※10。

地元の稽古を始めるときは、動きやすい服装で参加し、その後、必要に応じて稽古着を用意します。刀は稽古の際に道場のものを借りられます※10。

地元の稽古/初心者/振武館。木造の道場で、道着と袴を着た子どもと大人が並んで稽古する後ろ姿。
図3 地元の稽古(※10)

毎週通うことが難しい人からの質問にも、伝承会は答えています。返事は「お休みもご参加も自由です。ご都合に合わせてお越しください。」です※10。

私の見立て|村山市は、発祥の地で初めて刀を持つ人にも居合を教える市

居合を、誰が、どこまで続けているか。旅の入口では、90分から基本の形に触れます。

海外から来る人には、経験者にも、発祥の地で学ぶ時間があります。

住む人には、学校から受け継ぐ演武と、初心者から通える毎週の稽古があります。

私の見立てはこうです。村山市は、発祥の地で初めて刀を持つ人にも、居合を教える市です。見学する旅を思い浮かべていた私の前に、道着に着替える客と、人前で演武する小学生がいました。移住後に習い始める人にも、刀を借りて、毎週の稽古へ通う入口が開かれています。

毎週の稽古/初心者/刀。山並みの見える神社の境内から、刀を携えて木造道場へ通う人の後ろ姿。
図4 毎週の稽古(※10)

2018年12月1日から販売している体験の案内は、今もこう伝えています。「刀を持ったことがない方でも分かりやすく指導いたします」※1。

村山市を数字で見たい人へ|体験・仕事・住まい・冬の要点

体験と演武の数字は、それぞれの時点のものです。

項目 数字
体験(2023年度) 151人※3
うち外国人(同) 93人※3
児童(2025年9月) 6人※8
居合道体験 90分※1
サムライ体験 120分※1

市外から転居して賃貸住宅に入る世帯の家賃補助です。

暮らしを試すときと、住まいを決めるときの窓口です。

人口の推移と将来の見通しは村山市の人口ページに、暮らしのデータは村山市のページにまとめてあります。助成金の金額と条件は年度で変わるため、申請前に市の現行案内で確認してください。体験人数は2023年度、小学生6人の演武は2025年の実績です。

出典リンク集

本文の※番号に対応する資料です。括弧内に資料の頁・時点と確認日を記しています。

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